仏教の教典である「涅槃経」には
『牛より乳を出し、乳より酪(生クリーム)を出し、酪より生酥(バター)を出し、生酥より熟酥(発酵バター)を出し、熟酥より醍醐(ギー)を出す。醍醐は最上なり。もし服する者あらば衆病皆除く。あらゆる諸楽ことごとくその中に入るがごとく仏もまたかくのごとし。』
と記されている。
乳製品の製造過程に例えて、釈迦の修行及び教法を説いている。
後年、お釈迦様は、
乳製品は、「食料となり、気力を与え、皮膚に光沢を与え、また、楽しみを与えるもの」として賞賛している。
ただし、乳製品が「嗜好品」として取り扱っている場合においてが条件となろう。
毎日大量に摂取していては話は異なる。
6年の苦行の末に下山し、村の娘が差し出した久方ぶりに生の乳を飲んだことで、苦行への執着心を手放した。
「醍醐」というのは「乳、酪、生酥、熟酥、醍醐」という五の第五。
「乳を精製して得られる最上の美味なるもの」の意で、同時に仏教の最高真理に例えられている。
今日、使われる「醍醐味」という言葉も、実は遠い地でうまれたチーズのような固形物やギーオイルと考えると感慨深いものがある。
数千年も前からギーは最上の自然、神々からの命の贈り物であるとし、人々は祈りを捧げてきた。
その理由は、何千年と続く飢えの時代、明日を生き抜くための糧、保存食、貴重なエネルギー源・栄養源であり、命の恵みの循環そのものであった。