◯ GHEEとは何か?ギーとは、インドを中心とした南アジアで古くから作られてきたバターオイルの一種の乳脂肪分で、無塩発酵バターを煮詰めて、水分やタンパク質、糖分などを取り除いた高純度の保存食オイル。約99.8%は脂質つまり純粋なオイル。もはやバターとは異なる。そのため、タンパク質の変性リスクがほぼないためバターと比べても腐らず、ギー:〝常温保存〟可能 インド伝承医学アーユルヴェーダ古典書「チャラカ・サムヒター1章27節」1000の効果・1000の使い道があると記される近年、体に良いとされる・エクストラバージンオリーブオイル(ギーはオレイン酸を約32%含む)・ココナッツオイル/MCTオイル(ギーは中鎖脂肪酸を約9%含む)・エゴマ油や亜麻仁油[ギーはバターの約6倍のオメガ3(約3%)を含む]今話題のオイルの〝いいとこ取り〟脂質10種類以上含む総合バランスオイルといえよう。油は質と適量が重要だ。よくやりがちなのは世間が良い油と注目し始めたからとてそれ1種類を過剰に追い求めること。ほどほどが肝心である。しかし、ギーは人体が必要とされる脂質をそれぞれ適量含んでいる点が強みであろう。オメガ3は約3%しか含まれていないではなく、適量程よく含まれている点に注目したい。オメガ3は狩猟採集民族時代、摂取がほとんどないのに健康(飢えと運動量が多い)であった見解もある。炭水化物で例えると玄米のような、過剰症リスクも少ない、ありとあらゆる栄養を程よく含んだオイル。このため「奇跡のオイル」と呼ばれる所以が栄養学的観点から見ても頷ける。 本場インドでは、場を浄化すると信じられヒンドゥー教の儀式の際に火をギーオイルに灯してインド神に捧げたり、アーユルヴェーダ療法の治療で目の浄化に使われたりと使用用途は様々である。ギーを大量に飲むデトックス療法も今でも行われている。また、実際にインドの友人の体験談であるが、帰省する時に、母親の手作りギーを嬉しそうに抱えて持って帰ってきたが、それをバスの中で半分こぼしてしまったらしくとても残念な表情であった。それぐらい、インドでは古来の日本の手前味噌と同じように家庭の味、母の味、手前ギー的な感覚があるほど、インドの人々にとって今でもとても神聖なオイルということが窺える。ヒンドゥー文化は牛が神様でもあるから納得。牛の聖なる生乳から出来ているとなると尚更のことなのだろう。インド北部、マナリ近くのスピティ谷標高4000mでは、今でも、ギーが食事の約30%を占める。この地では食料がままならず、ギーは明日を生き抜く糧の一つなのだ。 ◯ ニューヨークにある大手ホールフーズの商品棚(写真)にはGHEE専用のコーナーがある(2022年時点)アメリカでは、健康オイルの定番オイルの一つとされている※アメリカの流れが5〜10年遅れて日本に入ってくる傾向(日本はまだ約70〜80%知られていないかつバターの類と思われているのがほとんど)◯ アメリカで「最も身体に良い油脂ベスト5」で第1位に選ばれる◯ 米国「TIME誌が選ぶ世界でもっとも健康に良い食品50に選定されたオイル脂質10種類以上含有、今話題のオイルの良いとこどり総合バランスオイル。・質の良いエネルギー源・発煙点約250度 ・三方良し そのまま食べてよし 肌に塗ってもよし 炒めものにもよし[参考]○ 「最も身体に良い油脂ベスト5」「INH全米ナチュラルヒーリング協会 The 5 Best Fats」検索ワード:「institutefornaturalhealing the-5-best-fats-that-you-arent-eating」○ 米国「TIME誌が選ぶ世界でもっとも健康にいい食品50・TIME誌 The 50[new] Healthiest Foods of All Time With Recipes」検索ワード:「The 50 (New) Healthiest Foods of All Time」特に焼きたてのパン、チャパティ、コーヒー、玄米、さつまいも、有機ポップコーン、キチュリ(インドのお粥)に1スプーンで美味しさUPといった使い方や、醤油パスタ、醤油玄米ご飯などの醤油との相性は抜群。美味しさや利便性、脂質10種類以上含有されていることから、美容や健康オイルとしてここ数年話題となり始めているが、まだまだ限定的である。ギーについては〝曖昧表現〟が多く、科学的エビデンスを付与したギーに関しての記事・研究論文、研究機関はほぼ0に等しいのが実情。しかし、裏を返せば〝曖昧表現〟の記事を人々が疑問を持たずに信じることがまかり通るということは、何らかの精神性が作用している証拠。科学文明社会において、科学に頼らないギーという存在は、とても貴重で神聖なものであると言える。なぜなら、インドなどの長い歴史や伝承から答えは感覚で観され、今さら科学的に実証する必要もない類であるからだ。3000年以上の歴史をもつ伝統医学アーユルヴェーダの歴史の中の実践経験や伝承・口伝、目には観えない効果を心の眼を通して感じたり、信じる純粋精神の中に既に答えがギーの真髄にあるのかもしれない。監修 ヨガ栄養士&マクロビオティック愛好家