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記事: THREE LIFE SUPPORT FUNCTIONS -KETOGENIC DIET-

THREE LIFE SUPPORT FUNCTIONS -KETOGENIC DIET-
4NUTRITION

THREE LIFE SUPPORT FUNCTIONS -KETOGENIC DIET-

体のエネルギーが枯渇すると、
次の⑴〜⑶の順(実際は同時だが割合の大きく早い順)に使用される生命維持機能の仕組み。

 ⑴ 解糖系:ブドウ糖を分解
   ブドウ糖 → エネルギー

 ⑵ ケトン体回路:脂肪酸を分解
   肝臓脂肪酸 → アシルCoA(β酸化) → アセチルCoA → ケトン体エネルギー
  ○ 長鎖脂肪酸(牛脂・豚脂・ギーなど)    :L-カルニチンが必要
  ○ 中鎖脂肪酸:(ココナッツオイル・ギーなど):L-カルニチンは不要

-カルニチンは、羊肉(マトン/ラム)や牛肉、マグロ、カツオなどの動物性食品に多く含まれ、動物性脂肪の燃焼の働きを助けるためダイエットに効果的であるとされる。しかし、体内で作られる上、長鎖脂肪酸(牛脂・豚脂)の摂取量が少ないベジタリアン・ヴィーガン(完全菜食主義)などは、特に気にする必要はないだろう。

 ⑶ 糖新生:タンパク質を分解
   タンパク質 → ブドウ糖 → エネルギー  
   不足:低タンパク症・生命の危機など
エネルギーが食糧不足などで枯渇していくと、体内では基本的に⑴→⑵→⑶の順でエネルギーを消費し生命を維持しようとする。
このため、 ⑵ケトン体エネルギー(酸性)が存在するから ⑴炭水化物、つまり糖質は摂取しなくてもよいではないかという見解がある。
それがケトン体ダイエット(ケトジェニックダイエット)だ。

ケトン体
ケトン体とは、ブドウ糖が枯渇した状態で、脂肪酸が燃焼するときに肝臓で作られる酸性物質の総称。アセトン(呼気から排出)、アセト酢酸(エネルギー産生)、β-ヒドロキシ酪酸(アセト酢酸)に変換する。これをまとめてケトン体という。

 特徴
 ① 脳でグルコースに変わる(代替エネルギー)
 ② 水溶性のため、血液中で脂肪酸のように特別な運搬タンパク質を必要としない
 ③ TCA回路や呼吸鎖の処理が追いつかないときに肝臓で合成され他の臓器に配られる
 ④ 心筋・骨格筋・腎臓などでアセチルCoAを経由してTCA回路に入るが肝臓では利用出来ない

体内にケトン体が増加する状態をケトーシス(ケトン症:ketosis)といい、ケトン体は、絶食、低炭水化物食の摂取、激しい運動時など、体内のブドウ糖が枯渇する状態となった時にブドウ糖に代わるエネルギー源として肝臓で産生。

ケトン体は酸なので、血中に多く含まれると血液や体液が酸性になる。このようにケトン体が増えて血液や体液が酸性になった状態をケトアシドーシスという(酸血症)。

糖尿病においては、ケトアシドーシスは主にインスリンの不足
している1型糖尿病患者(自己免疫疾患)に起こる。インスリンが不足した状態では脂肪の代謝が亢進し、血中にケトン体が蓄積してアシドーシスを起こし、ひどくなると意識障害を引き起こすためインスリン投与を行わないと死に至る。生体の内部環境はpH7.4付近が最適な状態で、これよりも酸性でもアルカリ性でも細胞や組織の働きが低下する。

このように、ケトン体はケトアシドーシスを引き起こす体に悪い物質である。
ただし、インスリンの
働きが正常で、ブドウ糖の利用が適切である限り、ある一定濃度のケトン体は極めて安全なエネルギー源となる。

ケトン食は、健常者が一時的なデトックスやダイエットで取り入れるものであれば良いが、健康と美のために一生涯続けていく食事としては疑問が残る。

アトキンス博士
動物性の食事が中心であると、過剰な脂肪摂取に繋がる。特に飽和脂肪酸が高くなり悪玉コレステロールが上昇、肥満や糖尿病を引き起こすというのが疫学上の常識である。しかし、それに反してアトキンス博士が提言した糖質制限食の代わりに肉と脂肪を自由に食べる(高脂肪食)「ローカーボ・ダイエット」が、「糖質を抑えて美味しく痩せる」とアメリカで大流行した。しかし、その後、学会や多くの研究で、最初の半年間は体重と血清脂肪の減少・善玉コレステロールの増加が見られるが、高脂肪食はケトン体という脂質の代謝産物が排泄されて、長期的には有害であると位置付けられた。アトキンス博自身、72歳で亡くなった際、117キロの高度肥満で、生前持病でありケトン食とは関係がないと主張していた心臓発作、鬱血性心不全、高血圧の病歴があった。ケトンダイエットがそれらの病気を増進させたかどうかの関与は明確には断定はできていないが、もしケトン食が健康食であれば病状は回復したのではないだろうか。

※ L-カルニチン:カルニチン(carnitine):生体の脂質代謝に関与するビタミン様物質で、アミノ酸から生合成される誘導体である。

動物の体内で生合成されるため必須アミノ酸ではないが、摂取不足や過剰消費によって欠乏症を発症することがある。獣肉類の赤身に多く含まれる。L-カルニチンはビタミンB6とあわせて摂取することで体内での代謝を促進すると言われている。カルニチンは、生体内で脂質を燃焼してエネルギーを産生する際に、脂肪酸を燃焼の場であるミトコンドリア内部に運搬する役割を担う。
※ ケトン体ダイエット(ケトジェニックダイエット):1920年代前半に、ミネソタ州ロチェスター市にあるメイヨー・クリニック

(Mayo Clinic)の医師、ラッセル・ワイルダー(Russell Wilder)が『ケトン食』を開発。「ケトン食」「ケトン生成食」「ケトン誘発食」「ケトジェニック食」「ケトン・ダイエット」「ケトン食療法」「ケトジェニック療法」とも呼ばれている。砂糖やパン、白米、パスタなどの炭水化物を一日20〜40gまで制限し、代わりに肉(牛肉・豚肉・羊肉)やベーコン、バター・チーズ、卵などのタンパク質や脂肪(脂質)は自由に摂取してよいというダイエット法。
アトキンス博士(1930-2003):アメリカ合衆国の医師、内科医、心臓病専門医。2002年、

タイム誌は、アトキンスを
「もっとも影響力ある10人」の1人に指名した。『アトキンス・ダイエット』は「アメリカ合衆国において最も普及した流行食」といわれる。アトキンスの著書が売れたことで、多くの企業が炭水化物の含有量が少ない食事を開発し、販売するようになった。だが、彼の死後、この食事法の人気は衰えを見せ始め、市場はアトキンスが提唱したやり方以外の炭水化物制限食に取って代わられるようになり、その安全性が疑問視されるようになった。
監修:ヨガ栄養士&マクロビオティック愛好家